選挙結果の感想
                    小泉克弥

 自民党の「軍師」の目論んだ通り、高市早苗が大勝利。
何より大きかったのは「立憲」を消滅させ、改憲反対勢
力をズタズタにしたことである。残るのは日本共産党だ
けだ。この党はしぶとい。立党百四年というのも、その
証だ。弾圧が効かないので、どうしようもない。

 歴史は学ばなければ何も教えてくれないという。「歴
史を学ぼう」が、これからのスローガンになるだろう。
SNSを開けばなんでも即座にわかる時代になったが、
歴史は十行や二十行でわかるような代物ではない。

 マスコミも問題だ。マスコミには各社それぞれの「社
是」があるはずだ。平和に対する態度、憲法に対する立
ち位置、そうした立脚点となる礎石はどうなっているの
だろう? 自民党が打ち出す憲法改定を、「改定案が提
示されました」と事実報道するだけでいいのだろうか。
憲法九条が生まれた理由、その社会的背景を捨象したま
ま、自民党が憲法改定を提案しました、皆さんどう思い
ますかでは、社会の木鐸としてのマスコミの役割は果た
せないだろう。

 失われた三十年という。永い閉塞状況の中で、このト
ンネルを抜け出すにはどうしたらよいか、そういう模索
の中で、ある種の性急主義が起こり、参政党のような排
外主義的な突破策も出てくるのだろう。しかし、そうい
う「熱狂」は、人々を「時の勢い」に乗せて押し流し、
いよいよ反動的な、好戦的な解決策へと押し流して行く
危険性があるのではないだろうか。

 戦争は百八十度の生活環境の変化である。今日食える
かから、明日生きていられるかに変わる。ガザを見れば
よくわかる。毎日たくさんの乳幼児が餓死している。ウ
クライナを見れば、何十万人が戦死している。戦場レポ
ートもテレビで放映される。生きているはずだった人た
ちが、「戦争」という政治手段の中で命を奪われている
のである。戦争中の日本も、物資はみな配給制、米はお
ろか酒もない、たばこもない、無いない尽くしの腹ペコ
生活だった。日本人だけでもおびただしい国民が死んだ
のだ。

 日本は今、新しい戦争に向かっているような気配がする。
今度の「鬼畜米英」はどこか? 早苗の頭を割ってみれば・・・
ここで短詩を二篇

海峡

可愛い女の子は早苗ちゃんといった
魅力的な社会人早苗さんになった
やがて首相閣下になり 笑顔を振りまいて
  世界の要人とハグするまでになった
トランプという巨人が一番好きなようだった
二人でホワイトハウスでお茶した時
戦艦の話で盛り上がったらしい


押し活選挙

「早苗の押し活選挙」では
  望外の大勝利
消費税ではなく
  憲法九条をなくすことにした
850億円かかったが
有意義なプロジェクトだった


 社会の動きの中で、労働運動の影がうすい。社会を支
えている労働者が、社会の推進エンジンとしての役割を
失くしてしまっている。二大ナショナルセンターへ分裂
させた資本の側の深謀遠慮が、花開いたのである。これ
を指揮した「軍師」が、今度の立憲と公明の合同で立憲
を消滅させた軍師だったのかもしれない。

 ヨーロッパでは、共産党員ということで奇異の目で見
られることはない。それは第二次大戦において、占領さ
れた祖国をナチの手から奪い返すパルチザン闘争が、国
民全員を一丸として戦われたからだ。思想信条を超えて、
みんなが一つになったのだ。そして戦いとはみんなが一
つにならなければ勝てないのだ。その中で共産党員は先
進的な役割を担ったし、そうした強固な信念を持った
「闘士」が敬意を受けることは不思議ではなかった。
 一方日本においては、天皇制軍国主義によって戦争反
対は徹底的な取り締まりを受けた。一般国民も、戦争に
反対するものは「国賊」として排斥する側に立っていた。
軍国主義思想教育の成果だ。戦後の労働運動においても、
企業での労働者の人権抑圧、低賃金、劣悪な労働条件に
抗して改善に立ち上がる人物は、共産党員が少なくなかっ
たが、「企業の敵」として抑圧された。隔離部屋に入れ
られ、やることは何一つ与えられない蟄居状態に置かれ
たり、庭の草取りなどの嫌がらせ作業をさせられたりし
た。労使協調組合は率先して「先進労働者」の排除に手
を貸した。
 こうした日本の歴史的背景が、今でも日本人の心理に
「共産党は怖いもの」「共産党に入るとひどい目にあう」
という影を落としているのではないだろうか。だから
「共産党の手柄」であっても、共産党のお手柄と称揚す
ることには一抹の戸惑いを感じるのだろう。何しろ共産
党を称揚して政権を取るほど人気が出ると、一党独裁の
強権主義の国になると危惧するのだろうか。歴史上の
「共産主義国」はどれも、一党独裁の強権主義、言論の
自由の否定であったからだ。そんな社会は御免だと、共
産党の手柄はなるべくそっとしておいて、悪事を暴かれ
た自民党の「悪さ」を強調し、共産党以外の野党に票が
流れるように仕向けていると思われてならない。
 前回、自民党を過半数割れに追い込むまで高まった市
民の政治意識は、今回の選挙ではあっさり吹き飛ばされ
た。その吹き返しは高市早苗に三分の二を与えるほどの
強さとなった。選挙制度が大きく影響しているとはいえ、
人々に人間とは何か、平和に生きるとは何かにまで掘り
下げて考える習慣を根付かせないと、「政治意識の進展」
は、簡単に吹き飛ばされてしまう根の浅いものにとどまっ
てしまうだろう。つまり、人間をもっと肉付けして社会
と対峙しないと、その時々の突風に吹き飛ばされること
を繰り返すことにならざるを得ないのではないか。歴史
を学ぶこと、そして人間とは何か、平和に生きるとは何
かを常に考える習慣を身につけること、人間の文化度、
それが深まらないと、未来へ向けての力強い歩みは生ま
れてこないだろう。生きる上で一番影響の大きいのが政
治である。政治とは何か、代議制の選挙とはなにか、そ
のことを常に意識していないと、生き易い世の中は来な
いだろう。3割の得票で8割近い議席を取る選挙制度と
はなにか、立ち止まって考える必要がある。
 大地にしっかり根付いた個人が地に満ちれば、戦争と
いう逆風もしっかり跳ね返す力を社会に蓄えてくれるだ
ろう。その時初めて「平和を愛する諸国民の公正と正義
に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意し
た」(憲法前文)
その理想が結実することになるだろう。

 戦争には絶対反対である。人間の命を尊重しろと声を
大にしよう。歴史はまだ続くのだから。

ポツダム宣言受諾

日本はポツダム宣言を受諾して
連合国に無条件降伏した
こうして戦争は終わった

治安維持法などの 弾圧法も廃止された
この天下の悪法治安維持法を廃止して
日本人に自由をもたらしたのは
進駐してきた連合国だった
それ故 最高司令官マッカーサーの方が
治安維持法の下で闘った日本共産党より
輝いて見えた

やがて 政治犯として捕らえられていた
日本共産党員が釈放されて出てきた
そして戦後初めての選挙では
日本共産党の候補者は 七人が当選した
これは心ある日本国民が
戦時中 力になってあげられず済まなかった
そういう贖罪の意思表示だったのだ
それで和解が成立したはずだったけれど
この和解はうまく機能しなかった
外国からの干渉があったのだ

 ソ連共産党スターリンと 中国共産党毛沢東からの日
本革命に対する「所感」という形での指令だった
この辺の事情は、私が2009年に出版した小著『よさ
こい革命団』にわかりやすく語られている
同書の最後の方の漫談的一部を紹介しよう

《レーニンのマルクス解釈の誤りを是正することを含め
従来の国際的な「定説」を根本的に再検討することが、
避けられない課題になってきます
第23回党大会(04.1)に提案され、採択される

「レーニンって駄目なの?」
ユトッピーがきょとんとする
(ユートッピーはユートピアをもじった寅さん的主人公)
「だけど10月社会主義革命を成功させたもんなァ
日本共産党よりすごいよ」と反発する
そこで四角四面に聞きに行く
「最近の国政選挙は出ると負けですけど、
どう立て直すんですか、上田兄弟?」
「われわれはゴルバチョフとは違います
ペレストロイカ(立て直し)は必要ありません
真実一路、これまでどおり革新の旗を護って
『国民が主人公』の実現を目指してたたかうだけです
このみちを、党の85年の歴史が燦然と照らしています」
「ペレストロイカなんて気取りやがって、
敗北の責任取れの党内クーデターだろう」
「いえいえ、歴史は無駄にはすすんでいませんよ
われわれは歴史の教訓に学んで
民主集中制堅持、覇権主義反対で団結しています」
「団結と統一、正しい路線、なんで革命にならないのかね
、 上田兄弟?」

「それはあなたがわが党に入党せず、フワフワしている
からです」
「まいったな、俺のせいにされちゃったよ・・・
俺に入れって言うけど、フワフワしてる俺が
不破、不破といわれるほど頼りにされるかね
だけど俺みたいのが入ったらどうなるんだろう、
『はーいそこ行く市民の皆さん
今日は共産党の一票と引き換えだ、おおまけにまけとく
よ!』
買収の現行犯で逮捕。やめとこッ!」
「その時留置場に誰が面会に行くと思う?」
「だれって?」
「この間越してきた喫茶店のママさん!」
「わ・た・く・し、入党しまーす!」
脳天から声を出す  (以下略)》

まッ こんな調子です よろしかったらご一読を

一九七〇年代 日本共産党は躍進した
最高時 衆参で50人を超える議員を擁した
労働運動の隆盛 革新自治体の相次ぐ誕生
日本革命は近いと予感された
支配階級(資本の側)の反撃が開始された
その熾烈な攻撃の軌跡は
歴史の専門家にお任せするのがよろしいようで・・・

今度の高市の「推し活選挙」の大勝利
その繰り出す好戦的 生活抑圧的政治は長続きはしない
3割の得票で8割近い議席を手にする選挙制度も
人民は必ず是正するだろう
諦めないこと
捲土重来を期して 力を蓄えよう
最後の勝利をもたらすもの それは
諦めない粘り強さだ



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